めまい

めまい1996年に大々的に修復されたレストア版。
フィルムの色や質感などが向上し、極端なカラーを使った場面やディフュージョンがかかりまくりのカットもはっきり見える。音もすっきりしている。
ジェームス・スチュワート扮する高所恐怖症で失敗した元刑事が、友人から挙動のおかしい妻の監視を依頼され、不可思議な事件に巻き込まれながら、やがてそこに隠された謎を解き明かすというもの。
妻役のキム・ノヴァクが美しい。
またヒッチコックの映像主義的側面が色濃く出ていて、それも好ましい。
けれどちょっと古臭く感じるのは、アウトドアのシーンを撮影所のセットで処理しているところ。有名なゴールデンゲート・ブリッジにキムノヴァクが身を投げるシーンでも、岸辺のカットはロケで、身を投げるカットはセットで、という具合に相当面倒くさいことをしている。
愛のメモリー』は、デ・パルマポール・シュレイダーがビスタ版の上映を観て、そこからインスパイアされたと言ってたけど、確かに『愛のメモリー』は『めまい』の進化形であり、デ・パルマはやっぱりヒッチコックの過激な子供なんだと思った。